護衛任務帰りに雨に降られ、金のにわとり亭で依頼を待ってはや5日。
依頼達成で得たお金がすっかりなくなっても、
酒場は地元冒険者優先で依頼を回し、尻で席を温めるのみ。
と、そんなところで雨に濡れた女性が入ってくる。
娘サリーがサミラという存在しない子と遊び、水系の霊障にあっているらしい。
シケた依頼だと地元の冒険者は依頼を受けない様子。
しかし平民が奮発した程度の報酬額ではあるので、
路銀が尽きた冒険者数名含むパーティは依頼を引き受け、
市場で装備を整えた後に寂れた漁村へ行くことに。
その村は排他的な村人が多く、村人からの情報は期待できそうにない。
村長も、滞在許可は出すものの、余所者が入ってくるのを良くは思っていないようだ。
ヘレンの家に行くもサリーはおらず、父親のクロドも勝手にしろと自棄気味。
冒険者一行がサリーの部屋の探索に入ると、ポルターガイスト現象が頻発。
机の上には、長い髪で顔が見えない子とサリーが一緒に遊んでいる絵と、長い髪。
雨漏りもないのにところどころがじっとり濡れている。これあかんやつや。
そこでヘレンが入ってくる。サリーが見当たらないらしい。
彼女自身かなり疲労困憊している様子なので、寝かせてサリーを探しに。
浜辺でよく遊んでいるようなので、海岸方面へと向かう。
浜辺に着いて海を見ると、長い髪の少女が遊んでいる。
「洞窟で遊ぼう」と言っているようだが、豪雨と波音に紛れよく聞こえない。
少女に近付こうと海に踏み出したところで、突然エイの怪物が現れる。
混戦の末倒すも、既に長い髪の少女は消えていた。
治療を行っている時に、サリーが現れる。長い髪の少女とどこか似ているような……
「お友達がたくさんきた、ってサミラが言ってたわ」と彼女は笑った。
洞窟のことについて聞くと、サリーとサミラはよく海向こうの洞窟で遊ぶという。
しかし、外見上は岩屋に近く、そこまで中が広いことは窺わせない。
幽霊らしき少女と、怪しげな海の近くの洞窟。嫌な予感を胸に、サリーを家まで送る。
漁師道具の物置小屋で冒険者一行が眠りについた深夜。
誰かが外に出た音がしたので、冒険者三名が目を覚まし、内二名が追跡を試みる。
「誰か」は洞窟の方へと歩みを進めていったようだ。
二人が洞窟へと踏み込むと、聞いたことのある男の叫び声。
突入すると、エイの怪物がクロドを襲っているところだった。
怪物を屠ってクロドを助け帰還することにする。
その途中で、帰りが遅いと皆を起こし、海岸の方へ歩いてきた面子と合流。
クロドの話を聞くと、サリーとサミラは双子だったが、双子は不吉であり、
村長と長老衆から強く村の言い伝えを守るよう言われクロドがサミラを殺したという。
ヘレンは記憶を捻じ曲げサミラを忘れ、元からサリーは一人娘だと思っているそうだ。
子を殺したことをずっと悔いていたクロドが、あの場所はいけない、と繰り返す。
一行はクロドを慰めてから別れ、洞窟の調査に乗り出す。
洞窟に行くと、乾いた古い血痕と、祭壇、儀式用と思われる短剣。
祭壇を探ると罠と隠し扉を開く仕掛けが。罠を解除し、隠し扉を開ける。
奥には日記と数多くの血痕、そして、祭壇と儀式用短剣、邪神ミルリーフの魔法陣。
日記は村長のものだった。満月の夜、サリーを生贄に捧げる、と記されている。
ミルリーフの受肉のための儀式。満月は明日。ここはかつて暗殺者の村だったようだ。
冒険者一行はここで村長達を待ち構えることにし、罠をはり準備を整える。
明くる日に、村長と長老衆がサリーを連れてやってきた。
激しい戦闘の末、村長と長老衆の女性の一人を生け捕りにすることに成功する。
しかし、死を望む彼女は首にナイフを当てられても情報を吐かず、事切れた。
祭壇を壊してサミラを成仏させ、村長の自死や詠唱を防ぐため口に布を詰め込む。
ワイルドホークとレイエルは、気絶しているサリーを抱えヘレンの家へと戻る。
そこで待っていたのは、泣き濡れたヘレン一人だった。
クロドは今朝何者かに殺されたという。恐らく長老衆が口封じしたのだろう。
ヘレンに事情の一部を話し、邪神信仰を知らない村の衆を説得してもらう。
ワイルドホークは村長の家の早馬で、ファリス神殿に事の次第を伝えに行った。
村長を同じく早馬で神殿まで連行し、一行は依頼の報酬と、神殿からの報酬をもらう。
酒場に戻ると雨はすっかり止んでいて、店主がエールを奢るという。
一行は祝杯をあげ、各々の労をねぎらうのだった。